パイル
毛羽(けば)を特徴とした織物で、ビロードの表面の毛羽やタオルのループのように、織物やニットの表面に出した毛羽やループ(輪奈)のことをパイルと呼びます。多くは毛足をカットして用いられますが、そうしないものはアンカットパイルファブリックと呼ばれタオル地がこれにあたります。
ハリスツイード
ツイードの発祥地、イギリスのスコットランドにあるハリス島で作られるツイードのことを言います。ざっくりとした風合いで粗い手触りといったツイード本来の姿と、更に野生ぽく粗野な感じがプラスされたカントリー風のツイードです。一見白髪のような差し毛がチクチクした肌触りを更に強調するかのようなのですが、ハリスはざっくりとした羊毛と羊毛の間にたくさんの空気が入っているため、カシミヤ100%に引けを取らないほど暖かく、厳寒のスコットランドの気候にも耐えられる素材です。偽物防止として、本物のハリスツイードには球体の上に十字がついた(Orb and Cross)という「ハリス・ツイード」の商標マークが付けられ、唯一無二の「ORB」ラベルが発行される仕組みになっています。
関連URL: http://www.harristweed.com/
ビキューナ
エクアドルからアルゼンチンにかけてのアンデス山脈、6000m以上の高地に数十頭の群れをなして住んでいる、ラクダ科ラマ属の一種から採取した毛です。獣毛の中で最も細く、最高品位のデリケートな柔らかを持つのですが、貴重で人気の高い「原毛」を取るために乱獲され、約30年前には、絶滅する寸前まで至りました。このため現在では、1973年に定められたワシントン条約(日本は1980年に批准)を後ろ盾として、ペルーを中心とした周辺諸国により、国際的に手厚い保護政策が行なわれていて、2年に一度しか毛の刈り込みは許可されておらず、1回の刈り込みで成獣1頭につき250〜350gの体毛しか得られません。現在は、ペルー政府の管理の基に、一つ一つの製品に「生産月」、「製品連番」を打ち、輸出許可書を添付しています。また、ワシントン条約の保護下の動物でもあるため、輸入の際には、ペルー政府の輸出許可証の有無を厳重にチェックされます。「幻の繊維」「神の繊維」「繊維の宝石」等と呼ばれ、希少価値も高く世界で一番高価な素材で、ビキューナ100%ともなるとコート1着で数百万円の値がつくと言われています。
ピーチスキン
布地の表面が桃の肌触りのような感触で、柔らかくしっとりした風合いの素材をピーチスキンと言います。極細のデニール糸で高密度に織り、防水・撥水効果があるコットンと化繊の合繊で作った新合繊を代表する素材で、雨を通しにくい、むれにくい、そして若干光沢があるのが特徴です。
ビロード
別名ベルベットとも呼ばれるパイル織物(添毛織物)の一種で、パイルをカットして織物の表面に毛羽を織り出した物です。表面は深みのある色艶や光沢感があり、柔らかで上品な肌触りで豪奢でドレッシーな趣があります。綿を素材にした場合、綿ビロードといい「別珍(べっちん)」という名でも親しまれています。コール天も綿ビロードの仲間で、毛羽の伏せの立ち直りが早く丈夫で、ドレス、スーツ、コート、装飾品、帽子など、幅広く使われています。生地を上下に垂れ下げた時に光沢が少なく見えるのは、毛先が上を向いた状態で、光沢がよく見えるのは、毛先が下を向いた状態です。
ふくれ織り
ふくれ織はマトラッセとも言われ、表面の模様や不規則な形が、立体的に浮き上がっているように織り上げるジャカード織の技法で、独特な肌触りが特徴の織物です。縦糸に2種類の性質の違う糸を組み込んで、これに緯糸を織り込んだ製織後、仕上加工で熱処理をします。この熱で一方の糸が収縮し、もう一方の糸は収縮しない為、たるんでふくれた様な状態になります。この仕組みを「ふくれ織り」といいます。マトラッセとはフランス語で「キルティング、詰め物をした、綿入れをした」の意味。
フランネル
たんに「ネル」とだけ呼ばれる事もあり、英国のウェールズ地方で作られたのが始まりで、ウェールズ語のウールの意味を指すグラネンからこの名がついたといわれます。縦横1本ずつ交差させる平織や、2本おきに交差させる綾織でできており、布面に毛羽がありふっくらと柔らかく軽いのが特徴。丈夫で温かみがあるので、主に肌に直接触れるパジャマや肌着、ベビー服に用いられます。スカート、スーツ、ズボンなどの洋服に使用する場合は、やや厚手になりフラノと呼びます。
フリース
メリノ羊毛を用いた紡毛織物を縮絨した後に起毛させ、毛羽を密生してから毛羽の先を刈り揃えたものをフリース素材と言いますが、最近ではポリエステルで作られた柔らかい起毛仕上げの繊維素材をさすことが多くあります。ふんわりと軽い割に保温性に優れているという性質柄、アウトドアウエアとして用いられたのがフリースブームの火付けですが、近頃多く見られる安価なポリエステルのフリースはゴミやほこりが付き易い物もあります。
別珍(べっちん)
綿パイル織物の一種でベルベッティーンとも言います。よく似たもので、ベルベット(ビロード)やベロアがレーヨンやアセテートなどの化学繊維を使用するのに対し、別珍は基本的に綿糸から出来ています。別珍の毛羽は、毛羽用の緯糸を切って作った物で緯糸パイル織物、ベルベット(ビロード)の毛羽は、毛経を切って作った物で経糸パイル織物となります。肉厚なので着ていてもとても温かく感じ、また短い毛羽が密にあるので手触りはとても滑らかで柔らかいのが特徴で、色味の深さや光沢感がとても豊かなので秋冬の女性の服地として人気があります。別珍には、毛羽の生えている地が、平織りのものと、綾織のものとがあります。裏側を見て、地が綾織のものが綾別珍で、平織の別珍と比べると、地の織り目が詰んで締まっていて毛羽が抜けにくいのが特徴です。
ベネシャン
毛、木綿などで織った朱子織りを特徴とした礼服地で、厚く滑らかな風合いと光沢を持ち合わせているので、男性のモーニングやブラックスーツ等に用いられることが多い素材です。最近ではレーヨン・ポリエステルの物も多くなってきましたが、それらも基本的には毛羽がなく中肉のしっかりとした織物なので、婦人物のスーツやスプリングコートとしても多く用いられるようになりました。
ベルベット
別名ビロードとも呼ばれるパイル織物(添毛織物)の一種で、パイルをカットして織物の表面に毛羽を織り出した物です。表面は短い毛羽が織り出されて深みのある色艶や光沢感があり、柔らかで上品な肌触りで豪奢でドレッシーな趣があります。綿を素材にした場合「綿ビロード」といい「別珍(べっちん)」という名でも親しまれ、「コール天」もその仲間です。毛羽の伏せの立ち直りが早くて丈夫で、ドレス、スーツ、コート、装飾品、帽子など、幅広く使われています。生地を上下に垂れ下げた時に光沢が少なく見えるのは毛先が上を向いた状態で、光沢がよく見えるのは毛先が下を向いた状態です。
ベロア
ベルベットのフランスでの名前ですが、本来ベロアとは成牛の裏皮を起毛させたものを言います。柔らかで上品な手触りと深い光沢感が特長で、フォ-マルドレスやカーテンに用いられます。現在国内でベロアと呼ばれる服地に、ベロア、ベロアオーバーコート地、ニットベロアの3種類がありますが、いずれも大半はウールやポリエステル素材で、また3種類に共通して言える素材の特徴として、肉厚・長い毛羽・光沢感・保温性が挙げられます。
ヘンプ
マニラ麻、サイザル麻、マゲー、マラオン(ニュージーランド麻)など硬質麻繊維のことを、ヘンプと言います。最近、春夏用素材として注目を集めています。
ボイル
細い強撚糸で織られた平織りの薄地織物の総称です。撚りが強いため、水にぬれると糸が元に戻ろうとして縮みやうねりを起こすことがあります。目が粗く、透明或いは半透明なのが特徴で、夏物のシャツやブラウスに多く用いられます。
防縮ウール
ウール特有の洗濯によっての縮み易さを防ぐために、樹脂加工を施したり、あらかじめ洗いをかけて縮率を落ち着かせる加工を行って縮まないように改質した物の事を言います。
ホームスパン
文字通り、家庭で(ホーム)紡がれた(スパン)という意味で、粗くて堅い手触りが特徴の、ざっくりとしたハンドメイド手織りの感覚を大切にしたツイードの一種で、一般的に秋冬のジャケットやコート、パンツなどに用いられています。
ポリウレタン
ゴム同様の弾力性を持った伸縮自在の合成繊維でスパンデックスとも言います。ただ、通常の繊維と比較すると弱いので、ポリウレタン繊維のままで衣服に利用される事は無く、ポリエステル等の他の繊維に混ぜて利用されます。最近のレディースで見られるストレッチ素材の殆どはこのポリウレタンを数%混紡しているものが多く、スポーツウエアから普段着のパンツ・スカートまで今やレディースでは欠くことの出来ない素材になりました。しかし熱や塩素系の漂白剤には弱いので、取り扱いには注意が必要です。
特徴
取扱
水洗いの場合、部分的に伸縮性が変わる事があるので、強いもみ洗いは避けて下さい。
洗濯機洗いの場合は製品の「ねじれ」による変形を避ける為、ネットを使用して下さい。
スチームアイロンやタンブラー乾燥は、製品の収縮が起こる恐れがあるので避けて下さい。
メリノウール
ウールの中でも最高級と言われるメリノ種の羊から取れる羊毛で、他のウールに比べて毛の繊維は太さが均一で細く白くしなやかなので、アパレル用羊毛の最高級原料として、ニットや毛布などに用いられています。汗や湿気をすばやく吸い上げると同時に、外気に放出する天然の吸湿速乾素材で、肌にやさしくさわやかな着心地です。
メルトン
イギリスで初めて作られた毛織物で、太く柔らかい糸を平織りまたは綾織りにしたのち縮絨(しゅくじゅう)して布地を十分につまらせ、布面を毛羽で覆われるような仕上げを施した毛織物です。手触りもよく、丈夫で保湿性が高く、しっかりとしたハリがあるのが特徴です。主にダッフルコート等のアウターウェアに用いられることが多い素材です。
モッサー
まるで苔(こけ:moss)のような手触りに仕上げた紡毛織物。地厚で密な見かけの割に軽く保温性に優れているので、主にコート地として用いられています。
モヘア
アンゴラ山羊の毛で、絹のように滑らかで白く美しい光沢を持った繊維で、これを織り込んだ夏生地もまたモヘアと呼ばれています。涼しげなシャリ感があり、吸湿性はコットンよりも高くまた、通気性にも優れているので、夏場の高級紳士服素材として用いられます。
楊柳(ようりゅう)
楊柳とは織物仕上げ加工の一種で、縦方向に筋のようなシワが一面に出したものを楊柳といいます。「柳の葉が風にそよぐ感じ」に似ているのでこのように呼ばれています。主に綿や麻混の物が多く、特徴として吸汗性、放散性に優れていて風通しがよく、しかもノーアイロンで着れるということから、夏場のジャケットやシャツ、ブラウス、肌着、シーツ等に用いられています。
リネン
亜麻科の1年草で作られた糸や布の事をリネンと呼び、フランス語でリンネルと言います。リネンは天然繊維の中では最高の強さを誇り、その上濡れるとさらに強度が増します。光沢感、清潔感があり肌触りもよく、夏場の衣料用素材としてはうってつけの素材です。コットンやシルクに比べ吸水・発散性に優れている為、水分や汗をすばやく吸い取り、かつ発散させ、肌に優しくサラッとして、爽やかな涼感があります。
レザー(皮革)
レザーとは、皮革の総称で、素材は牛・羊・山羊・豚が大半を占めますが、その他に馬や鹿、 ダチョウ、 カンガルー、ヘビ、トカゲ、ワニ等、種類は多数あり、基本的に次のように分類分けされます。
表皮: 毛を取り除いた皮革の表面を使用したもので、革特有のシワ模様がある。
スエード: 革の裏側を、サンドペーパー等で細かく毛羽立てて(バフィング)、ベルベット状に起毛させて仕上げた革。
バックスキン: 本来は鹿の表皮を起毛させたものだけを指していたが、現在ではスエードと同じ意味で用いられている。
ヌバック: 牛革の表面をサンドペーパー等で削り毛羽立たせた革。スエードと比較すると毛羽が非常に短くビロードのような風合いに仕上げたもの。
ベロア:革の床面をサンドペーパーで毛羽立てて(バフィング)、ベルベット状に起毛させて仕上げた革で、毛足はスエードより数倍長くなっています。
また、本物の皮を一切使用せず、天然皮革に似せて仕上げた合成皮革や人工皮革のことをフェイクレザー(英語ではimitation leather)と呼びますが、本物の革と比べて比較的安価で軽く、耐久性・耐水性の面でも優れているため、近年、衣料用素材としてはこちらの方がより身近な存在となってきました。
ローン
綿や麻の通気性をさらに高めようと「撚り」や「織りかた」を工夫して細番手の糸を緻密に織った平織りの生地をローン( Lawn) といいます。特に、縦糸・横糸の密度を比較的均等にすることによってしなやかさを生み出しています。サラッとしたタッチと上品な感覚でドレッシーなシャツ地として用いられます。