“Akiko-Style アキコスタイル”は、オーダー婦人服、ウエディングドレス、ユニバーサルウエア等、服飾のメインストリームを歩むアトリエ.AKIKO、オーナーデザイナー・武田彰子の作品を、また別の角度からご紹介するページです。
今回は、アトリエ.AKIKOとは20年来のお付き合いという北村裕子(きたむら ゆうこ)さんと武田彰子さんとの対談です。北村裕子さんは声楽家として仙台市内を中心にオペラなど精力的に活動するとともに後身の育成にも励むなど多忙を極める中、今回の対談にお越しいただきました。
対談場所は、アトリエ.AKIKO、対談のテーマは"音楽家と舞台衣装について"。
北村さんと武田さんのお話を通して、音楽家の求める舞台衣装とそれを実現するオーダーサロンとの理想的な関係をお届けいたします。※以下、敬称は省かせていただきます
もう本当に長いんですよ、武田さんがまだ、泉の八乙女にアトリエを構えている頃で、かれこれ20年になりますね。私の友人が着ていたスーツが素敵で、私も一着欲しいなって、アトリエまで押しかけちゃいました。
そう、でもそれがきっかけで、これだけ素敵なお洋服を作るんだったら、舞台衣装も出来るだろうって勝手に思い込んで(笑)、舞台衣装もお願いするようになったんです。
舞台衣装も普段着でも、女性って、着ているもので気分が良くなったり落ち込んだりするものですからね。私達の年齢になると、サイズもそうですが、デザインに対する要求も我侭になってきて(笑)、信頼できるオーダーサロンが一軒あるというのは心強いですよね。
もう20年ですね、長いですよね。
色々なことがありました(笑)。でも、北村さんの表現者としての真摯な姿勢に魅かれて、というところが大きかったと思いますね。
実は以前、専門学校の講師をしていた時に卒業生の就職先からのオーダーで、一年間で98着のドレスを制作した経験があるんです。そのときに培った技術と言うのはやはり現在でも様々な場面で活きるもので、北村さんの舞台衣装についても技術面についてはそれほど問題はありませんでしたが、やはり、舞台という非日常的な空間での衣装ということで、様々なやり取りは必要でしたね。
私、我侭だから、武田さんに色んな事言っちゃって(笑)
アハハハ、北村さん、覚えてらっしゃる? オペラの「メリー・ウィドゥ」の時のこと。私が、「如何ですか、このドレス、ステキなシルエットでしょ」って聞きましたら、「ウーーン、素敵なんだけど、今回の役は、未亡人の役でちょっとイメージと違うんです、とか、もうちょっと東ヨーロッパの雰囲気を・・・」なんて仰るから、さあ大変(笑)またやり直しです(笑)
そうそう、そんなことありましたね(笑)
オペラの衣装って、時代考証とか色々な要素があるのでそういうところが難しいかもしれませんね。あの時は、夜遅い時間にアトリエに本やビデオや色々な資料をもって伺って、ずいぶんと迷惑をかけてしまって・・・。それから、武田さんが稽古場に見学に来られたことも・・・。
ここまでしてくれるんだって、びっくりしました。
私はウエディングドレスもそうなんですけど、お客様とのやり取りの時間も大切だと考えているんです。濃厚な時間が質の高い衣装のためには不可欠だと思いますね。既製服ではありえないことですが、そこがオーダーサロンの魅力でなくてはならないと思っています。
まず明るさの問題がありますね。舞台って照明があるといっても、皆さんが思っているほど明るくない時もあるんです。勿論会場の規模によっても違いますけど、その中で如何に適切に優雅に見せるのか、また、布を重ねることで深さを出したり。
ヘアーメイクにしても舞台の場合には通常とは大きく異なります。また、舞台での動きも独特ですし、発声の際の呼吸法も通常とは異なります。形だけ美しくても、舞台が要求する機能性をクリアしなくては舞台衣装としては成立しません。
武田さんは、そのような要求に的確に応えて下さいますね。本当に頼りになります。
私は更に、生地へのこだわりも大切だと考えています。何年経っても色落ちしない、質の高いもの。オーダーってその方のためにデザインするわけで世界に一着しかないものです。
30年後でも着れる衣装、それが、アトリエ.AKIKOが目標とするすべてでもあるんです。
- ステージ上の北村裕子さん。衣装デザインはすべてアトリエ.AKIKO,武田彰子のデザイン・製作。 -
武田さんは、最初から間口がとても広かったですね。「どんなお洋服をお作りになりたいんですか?」って。いくらオーダーサロンといっても普通はある程度のところでシャットアウトされるのが普通だと思うんです。現にそのような経験がありますから。でも武田さんは違っていました。だから私も心を開いて何でも相談しました。そしてそれを受け入れて下さった。
簡単なようですが、一番むずかしいことだとも思います。
やはり、私は声楽家として、普段はくたびれていても(笑)、ステージでは生き生きと頑張りたいと思っています。それが私の仕事です。とはいえ、迷うことも多々あります。そんな時、武田さんの存在は非常に大きいですね。公私共に相談できるお姉さんのような存在ですね。
勿論です。武田さん、これからも素敵な衣装をお願いしますね。
北村さんがステージに現れた時に上がる歓声が私の励みでもあるんですよ。北村さんのステージに恥じない衣装をこれからも作らせていただきますね。
- 皆さん、本日はどうもありがとうございました。 -