当店でお仕立ていただくお客様はほとんどの方が仕事着としてのスーツです。スーツとは本来一式、一揃えという意味で一般的にテーラード(紳士服仕立て)です。
この頃のスーツは作業着だから使い捨てで1~2シーズンも着られて体裁が整っていれば良いと考えられがちです。しかしながらナポレオンは制服(洋服・服装)は着せるとその人が変わっていくと考えていたようです。
人は見た目でかわっていくのです。洋服は人を育てるのです。
当店のお客様でスーツ、仕事着は鎧を作る思いで仕立てると仰る方がいらっしゃいます。
鎧は昔の武士が戦いから身を守る着衣。現代の社会でもきちっとした身なりで仕事に打ち勝ってほしいと思うのです。
それから、それからオーダーだと生地がほんとに良い物が多く、又、あらかじめ縫い代がたくさんついていますので、当店でしたら3サイズ位は大きくサイズ補正できるのです。
洋服を大事にできる人は人生も謳歌できる人と信じます。洋服はその人を育てるのです。
アトリエ・AKIKOでは紳士服のサイズオーダーも承ります。また、体型に合わせてお直しもいたしております。
紳士服の補正 /巾だし
<W様60代の紳士>ジャケット6点、パンツ9点、ベスト1点
衣替えの前にとおしゃれな紳士二人/身体が大きくなって着られなくなったクローゼットの中の洋服達
好きで買ったものだから捨てられない。また、「今どきこんなチェック柄は無いよね、探したのだけれど見つからない」と。
本当に大好きな大事にしていた洋服達なのだと思われました。
ジャケットの身巾を10cm大きくしたい、パンツのウエストは12cm以上出し、股上を大きくしたいとのご用命でした。
・ジャケット
一般的な紳士既製服の縫い代は1cmから1.5cmなのです。それにベンツがあるとベンツを作るために切り込みが入っているのです。そのため身巾を出すのにベンツをなくすることを提案。ベンツの切り込みを施こすと虫食い位のきずができましたけれど目立ちません。身巾10cmは無理でしたけれど7cm~8cmは出すことができました。
・パンツ
紳士服のパンツは後中心に縫い代が多く5cm位は出せるようになっているのですが、すでに出した形跡がある部分も多かったのです。そこで提案したのは出来るだけ後ろ中心で出し、後中心のベルト部分にスリットを入れること。ベルトのスリットの部分はベルト通しが2本必要になり、ポケットの向こう布を切り取りました。また、ウエストタックをなくしベルト部分に別生地を施す。ここで8cm位が出せるのです。それに後中心のスリットであと5cm位は大丈夫。合計13cm位のウエストを出すことが出来ました。ウエストにスリットを入れたことで将来サイズ変更があっても大丈夫なように仕上げました。
紳士服の補正 /詰める
<K様30代の紳士> スーツ、パンツ10本、ジャケット3点
K様のお母様が10年来のお客様で信頼をいただいております。
当店はオーダーメイド婦人服を営んでいますが実は紳士服も仕立てています。
紳士服については出来る限り安価になるようにサイズオーダーをお勧めしています。
紳士服だって上品に着るには肩幅、バスト、ウエスト、ヒップ、着丈の程よいバランスが必要なのです。それから生地もです。
すぐにくたびれるような生地なら台無しです。
K様には近年当店のサイズオーダーをいただいています。
おもしろいことに大体の人は1kg1cm位の巾で太細左右するのです。
K様の上着も10cmつめることにしました。サイズオーダーの縫い代はたっぷりついていて、巾を出すのは楽なのですが
今回は巾つめでした。後中心の衿、ベンツ作り直し、サイドシルエットをつめていきました。
パンツはウエストをつめるだけでOKでした。
他店で仕立てたパンツのお直しもいただき、後中心、脇、股下、丈など初めから仕立てるくらいお直しいたしましたが、
驚くほどスマートになり喜ばれました。